マットレス使用による妊婦の腰痛に関する研究
要旨
本研究は女性にとって最大の身体的変化を伴う妊娠期の腰痛と寝具(夜間就寝時に使用する)との関係を明らかにすることにより、腰痛が緩和できる寝具の要件について明らかにすることを目的とした。対象は、妊娠してから腰痛があり、現在も腰痛を有する妊婦90名である。マットレス使用群、不使用群の振り分けは、調査依頼時マットレスの使用をお願いし、先に同意の得られた妊婦15名をマットレス使用群とした。
結果、マットレス使用の有無別にVASと日常生活困難度のスコア変化をみると、マットレス使用群では腰痛の増強はみとめられなかったが、マットレス不使用群では週数が進む毎に、痛みの増加が認められた。また、マット不使用群では、妊娠週数が進む毎に有意に日常生活の困難さを訴えていた。以上の結果から、臥床時腰~腹部分を適度に沈み込ませ、腰に掛かる負担を軽減することは妊婦の腰痛軽減に作用する要件の一つであると考える。