改定長谷川式簡易知能評価スケールによって判定した認知症の重症度と 反復唾液嚥下テストの実施可能度との関係

  • Mitsue KAI
  • Kouichi MURATA
  • Tetsuya TAKAHASHI
  • Tetsuo KAWAMURA

要旨

本研究は、認知症者における改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の得点と反復唾液嚥下テスト(RSST)の実施可能度との関係を明らかにするために行なった。74名の認知症者はHDS-Rによって認知症の重症度を判定し、自発性嚥下が見られた直後に口頭で、唾液を飲み込むように指示した。指示から10秒以内に嚥下が観察された場合は、RSSTが可能であると判定した。RSSTが可能であった割合は、HDS-Rの得点が9点から0点へ低下するのに伴って低下した。このHDS-Rの得点の範囲では、HDS-Rの得点と、RSSTの実施可能度およびそのlogit値との間に直線性が認められた(いずれもP < 0.001)。これらの直線から、HDS-Rの得点が2点以上の場合にRSSTの実施可能度が50%以上となること、および12点以上の場合には90%以上となることが示された。このHDS-Rの2点と12点という得点は、パラメディカルスタッフが認知症者にRSSTを行う場合に実施可能であるかどうかを迅速に判断するための基準となることが期待される。

出版済
2018-10-08
セクション
原著論文