自殺の要因につながる世帯所得と精神疾患との関係

  • 仁宮 崇
  • 田並 尚恵
  • 小河 孝則

要旨

我が国では1998(平成10)年以降、自殺者数が3万人を超えている。本研究では、自殺の要因として自殺者の健康面では精神疾患を、経済面については世帯所得に注目し、両者の関係を調査した。
調査方法は、都道府県別データを用いて、世帯所得別世帯割合と精神疾患患者数、健康に悩みを抱えている人の割合および眠れないと有訴する人の割合をピアソンの相関係数を算出し、検討した。その結果、世帯所得が低い都道府県では、精神疾患患者数、健康に不安を感じている、眠れないと有訴する人の数が多かった。
この結果から、自殺予防対策には健康、経済をはじめ、極めて多彩な種類の相談に対応する窓口の増設が必須である、と提案する。

出版済
2018-10-07
セクション
原著論文