重症心身障害児施設のA施設における インシデント・アクシデントの要因分析に関する研究

  • 飯田 加寿子
  • 鈴井 江三子

要旨

重症心身障害児施設(以下、重心施設とする)は、重度の知的障害および肢体不自由が重複している児童を入所させ、治療及び日常生活の指導を目的とした施設である。2006(平成18)年4月1日現在、全国の重心施設数は115施設となり、利用者の年齢層は幅広く、高度な医療的ケアも増大傾向にある。先行研究から、重症心身障害児施設で発生したインシデント・アクシデントのうち、「内服の投薬ミス」が最も多かったと報告されており、それ以外にも、日常生活環境の中で、突発的で多様な事故が多発していると報告されている。そこで、本研究では、日本において一般的な重心施設の特徴を網羅していると考えるA施設に焦点をあて、同施設で3年間に発生したインシデント・アクシデント報告の内容を資料分析し、それらの要因を明らかにした。

全事例、140件の報告書を分析した結果、平成20年度の発生件数が有意に減少していた。月別発生状況では、異動など職員の入れ替わる時期に発生しやすいことが明らかになった。インシデント・アクシデントの内容では、医療的ケアに関しては比較的減少傾向にあったが、「受傷・骨折」は増加していた。また、被災児者も、入所者だけでなく、短期利用者、通園利用者なども被災しており、職員も被害を受けていることが明らかとなった。

出版済
2018-10-07
セクション
原著論文