日本における患者情報の保護に関する状況とそれに関連する要因
要旨
個人情報保護法が2005年に施行され、日本人全般に個人情報のプライバシーに関する認識が強くなった。しかしながら、患者は自分自身の情報を提供することや、情報を医療従事者間で共有することに関して抵抗感が少なく、自身の情報プライバシーについて強く意識してはいない状況であることが明らかになっている。そのためか医療の分野では情報プライバシーに関して、他の分野ほど大きな問題生じてはいない状況であるといえる。これは、お任せ医療といわれるような独特の患者-医療者関係や、和を重視する文化があることが影響していると考えられる。日本人には欧米とは異なる、日本人特有のプライバシー観がある。そのことを加味して患者の情報プライバシーに留意した、情報収集・情報共有の方法を探る必要があると考えられる。