ハーブとスパイス

  • 堀江 肇

要旨

ハーブ(香草)とスパイス(香辛料)は主にヨーロッパで利用されてきた香りの強い植物由来の食品添加物で、19世紀に始まった香り成分の研究が近代化学の誕生に深く関わっている。東南アジア原産のスパイス類が主に料理に使われるのに対してティーとして発展してきたハーブはギリシアローマなど地中海沿岸に始まり北上した歴史がある。プルーストの小説で菩提樹花のハーブティーの香りで突然主人公が昔の記憶を取り戻す有名な場面があり、これをプルースト現象と呼ぶ。近年はアロマテラピーとして精油など香草成分が使われるし、ハーブ薬湯(ティー)を西洋漢方の煎じ薬ということもある。

出版済
2018-09-14
セクション
総説