医学と生物学 (Medicine and Biology) https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol <p><strong>「医学と生物学」は、2018年、オンライン版の電子ジャーナルで復刊しました。</strong></p> <p align="left">「医学と生物学」は昭和17年(1942)に創刊され、医学およびそれに関連する領域の原著論文、短報、総説などの掲載誌として財団法人緒方医学化学研究所の支援のもと、医学生物学速報会から刊行されていました。残念ながら、同法人の解散に伴い平成25年(2013)に157巻をもって休刊となっていました。</p> <p align="left">この度、特定非営利活動法人バイオテクノロジー標準化支援協会(SABS)が、医学生物学速報会から「医学と生物学」を引き継ぎ、新たにオンラインジャーナルとして発行することになりました。</p> ja-JP medbiol@sabsnpo.org (檜山 哲夫) info@sabsnpo.org (H. Kawasaki) 火, 20 2月 2024 11:06:14 +0900 OJS 3.1.0.0 http://blogs.law.harvard.edu/tech/rss 60 Chlorogonium capillatum (クロロゴニウム) のラットへの 28 日間連続投与による安全性評価 https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/531 <p> 緑藻 Chlorogonium capillatum の食用としての安全性について,ラットを使用した28日間の経口亜急性毒性試験にて評価した。 C. capillatum の凍結乾燥粉末を雌雄のラットに 1000 mg/kg/dayの用量で28日間連続経口投与した。 28日間の投与期間を通じて,投与群,対照群ともに死亡例や全身状態の変化は観察されなかった。 C. capillatum を投与した雄グループでは,14日目と28日目に体重が有意に減少した。しかし,これらの変化は正常の範囲内であった。 投与期間終了時に実施した血液学的検査および血清生化学検査では,C. capillatum の影響は認められなかった。 剖検時、器官および組織の肉眼的観察,および実験期間終了時の器官重量測定により,C. capillatum の投与による重大な影響は認められなかった。 以上,28日間経口亜急性毒性試験において C. capillatum の有害作用がなかったことから,雌雄ラットにおけるC. capillatumの無毒性量 (NOAEL) は1000 mg/kg/day以上と推察された。</p> 山口 裕司, 田中 慈士, 榊 節子, 堀 敬子, 竹中 裕行 ##submission.copyrightStatement## https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/531 木, 15 2月 2024 00:04:06 +0900 女子大学生の潜在的致死的飲酒に対する アルコール健康教育の予防効果 https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/533 <p> 小・中・高校で受けたアルコール健康教育の効果が大学入学後も持続しているか否かについては、ほとんど明らかにされていない。女子大学生の飲酒行動を調査し、そうした教育が大学入学後の身体的危険飲酒の予防に有効であるかを検討した。女子大3・4年生を対象に自記式質問紙調査を実施した。飲酒の失敗経験のうち「記憶を失う、店や車、道で寝込む、救急車で病院に運ばれる」を、潜在的致死的飲酒と定義した。飲酒経験のある506人を分析対象とし、そのうち112 人が潜在的致死的飲酒を経験した。「潜在的致死的飲酒経験の有無」に関連する要因を明らかにするため、ロジスティック回帰分析を行った。潜在的致死的飲酒に対する独立した予防因子は、「小学生でアルコール健康教育を受講」(調整オッズ比[AOR], 0.47)、「飲酒で顔が赤くなる人」(AOR, 0.38)、「文化系サークル活動の経験」(AOR,0.35)であった。「インカレのサークル活動の経験」は、潜在的致死的飲酒の主要な危険因子 (AOR, 3.52) であり、「新入生歓迎会での強制飲酒」との間に非常に強い相関が認められた (phi = 0.54)。 女子大学の学生においては、小学校5、6年生におけるアルコール健康教育によって、インカレのサークルが主催する新入生歓迎会での潜在的致死的飲酒の機会から遠ざかることで、潜在的致死的飲酒が抑制されていると考えられる。</p> Takeshi Komoda, Masako Kubo ##submission.copyrightStatement## https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/533 金, 16 2月 2024 10:16:07 +0900 マインドフルネス呼吸法を用いた高校生のレジリエンス向上に向けたプログラムの効果と評価 https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/525 <p>高校生は、さまざまなストレスが生じやすい時期である。本研究ではストレスに対する回復力(レジリエンス)を促す方法としてマインドフルネスに着目した。本研究では、レジリエンス向上に特化した4週間の低強度マインドフルネスプログラムを作成し実施した結果について報告する。</p> <p>対象者は高校3年生6名であった。プログラムは、初回にマインドフルネスの知識と、マインドフルネス呼吸法の方法に関する約10分の動画を視聴し、介入期間にマインドフルネス呼吸法(1回5分)の教示用動画を視聴しながらマインドフルネス呼吸法を練習するものである。効果の評価は、自記式質問紙調査方を用いて介入前後と、終了1ヶ月後に行った。評価項目は、レジリエンス、気分、反すうとした。</p> <p>結果,“レジリエンス合計”(BF=8.443, error=0.58%)、レジリエンスの下位項目である“突破”(BF=4.652, error=0.41%)、“忍耐”(BF=9.531, error=0.58%)は、主効果のBF値が有効であった。また、“気分” (BF=8.274, error=0.54%)も主効果のBF値が有効であった。以上より、本プログラムを行うことは、高校生のレジリエンスの向上や不快気分の軽減に有用であり、高校生の健やかな成長を支援することに寄与しうる可能性が推察された。</p> Miki Eguchi, Michiko Ishida, Wataru Imura ##submission.copyrightStatement## https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/525 木, 15 2月 2024 00:02:08 +0900 特別養護老人ホームに勤務する医療・介護・福祉職が実践しているがん終末期入居者への多職種協働 https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/526 <p> 本研究の目的は、特別養護老人ホームに勤務する医療・介護・福祉職が実践しているがん終末期入居者への多職種協働を明らかにすることである。特別養護老人ホームに勤務する医療・介護・福祉職35名を対象に半構造化面接を行い、Krippendorffの内容分析を用いて分析を行った。その結果、特別養護老人ホームに入居するがん終末期入居者に対する多職種協働として、多職種協働を実践するためには【自身の知識・技術を磨く】ことを基盤として《他職種の役割を尊重する》態度で、多職種協働カンファレンスなど《多職種協働の効果についてともに考える》機会を活用して、【協働の効果を共有する】ことを実践していた。さらに、【組織のビジョンを示す】ことは、多職種協働を進め、質の高いがん終末期入居者へのケアに繋がることが示唆された。</p> 古川 智恵, 森 京子 ##submission.copyrightStatement## https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/526 金, 16 2月 2024 10:17:22 +0900 女子大学生に対するアロマセラピーによる月経周辺期症状への効果 https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/532 <p> 本研究は、女子大学生にアロマセラピーを行うことによる月経周辺期症状への効果を明らかにすることを目的とした。対象は健康な女子大学生16名とし、アロマ使用群 (10分間アロマセラピーを実施する群) と不使用群 (アロマを実施しない群) に割り付けランダム化比較試験を行った。月経が不規則であった1名を除いた15名に実施し、アロマ使用群は8名、不使用群は7名であった。アロマ使用群では、収縮期血圧で有意な低下がみられ、介入前後においてVAS (visual analog scale) の不快感、身体的疲労度、下腹部膨満感、イライラ感、憂鬱感で有意な減少があった。また、アロマ使用群ではPOMS2 (profile of mood states 2nd edition) で「混乱-当惑 (CB) 」、「緊張-不安 (TA) 」に有意な減少、MDQ (menstrual distress questionnaire) の痛み、集中力、行動の変化、自律神経失調、水分貯留、否定的感情、各領域合計得点で有意な減少がみられた。一方、不使用群では、身体的疲労度のみ有意に減少し、他で有意差はなかった。以上より、アロマセラピーは月経周辺期に伴う身体的・心理的な症状が緩和される可能性が示唆された。</p> 中川 優花, 上杉 裕子, 細名 水生 ##submission.copyrightStatement## https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/532 木, 15 2月 2024 15:15:13 +0900 看護系大学生における高齢者の性・セクシュアリティに関する講義前後での認識の変化 https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/539 <p>本研究の目的は,看護系大学生が高齢者の性・セクシュアリティについて,講義前後でどのような認識の変化があったかを明らかにすることである。A大学2年生105名のレポートをテキストマイニングで分析した。結果,講義前では分析に用いた総抽出語数2276,異なる語数414であった。講義後では分析に用いた総抽出語数9608,異なる語数876であった。サブグラフでは,講義前が【加齢に伴って性欲は低下するイメージ】【性の関心の低下と性機能の衰え】【男女の関係性の変化】【自己の先入観や価値観で捉える高齢者像】【若者世代との比較による高齢者の捉え方】の5つであった。講義後が【高齢者にとって重要な性的欲求の理解】【高齢者の性に対する考え方の変化】【高齢者の愛情表現】【高齢者の心理的側面の変化】【高齢者にとって健康な生活のあり方】【動機づけとなった講義の位置づけ】【幅広い概念であるセクシュアリティの理解】【高齢者の性とセクシュアリティに対する学生の意識の拡大】【高齢者のセクシュアリティを意識した看護の視点】の9つであった。講義前には加齢による生殖機能の衰退に関する記述が多かったが、講義後には高齢者の性・セクシュアリティに対する認識の広がりがうかがえ、高齢者の特徴の理解や性・セクシュアリティの視点を踏まえた看護のあり方について考えることができていた。</p> 穴井 美恵, 小倉 由紀子 ##submission.copyrightStatement## https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/539 木, 15 2月 2024 00:03:10 +0900 高齢者の人生の最終段階における医療・ケアの意思決定に関連する要因 https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/534 <p> 本研究の目的は、高齢者の人生の最終段階における医療・ケアの意思決定に関連する要因を明らかにすることである。老人クラブ所属の高齢者1,239名に質問紙調査を実施し、有効回答421名を分析対象とした。人生の最終段階における医療・ケアの意思決定の有無別に介護や看取りの経験、意思決定に関する教育、人生の最終段階の医療・身体状況に関する知識の有無、人生の最終段階に関して重要であると考える項目を比較し、ロジスティック回帰分析を行った。  人生の最終段階における医療・ケアの意思決定がある高齢者は22.8%であった(平均年齢74.4±6.9歳、男性54.6%)。ロジスティック回帰分析の結果、人生の最終段階における医療・ケアの意思決定には介護経験、意思決定に関する教育、人生の最終段階の身体状況の知識、自然な最期を迎えるという考えが有意に関連していた。人生の最終段階に対する知識や重要であると考える項目に関する教育が高齢者の意思決定につながる可能性が示唆された。今後、高齢者の意思決定を促進する教育プログラムにその要素を取り入れていきたい。</p> 安孫子 尚子, 巽 あさみ ##submission.copyrightStatement## https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/534 金, 16 2月 2024 09:13:19 +0900 院内助産の現状とその課題 https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/540 <p> 現代の日本社会では,助産師に,正常妊産婦を対象とした助産ケアの提供だけではなく,ハイリスク妊産婦に対する助産ケアや産後のメンタルヘルスの不調をきたした女性に対する産後ケアと育児期における支援も含めた対応が求められている.そのような現状のなか,院内助産を稼働させている施設が増加しつつある.本論では,院内助産を実践している一施設の状況を報告し,より質の高い院内助産実践に向け,現状の課題の整理を試みた.  2021年から院内助産システムを開始しているさぬき市民病院では,産科混合病棟にて,院内助産を運用している. 質の高い助産ケアの提供を目指し,院内助産に携わる助産師13名のうち8名がアドバンス助産師である.本院における院内助産では,女性が,分娩台を利用せず,畳の上に敷かれた布団の上で分娩することを選択できるようにしている.分娩室では,女性が希望通りに過ごすことができ,体位の拘束もない.お産をする女性が主役であり,私たち助産師は,その女性のお産を演出するわき役としてケアを行っている.これらの助産ケアは,女性を中心としたケアモデルを中核にすえ,助産師主導の継続助産モデルを活用した実践である.このような実践の結果,本院における院内助産システムは,女性の望むお産を実現するだけでなく,働く助産師の職務満足度を高められることに効果があることがわかった.しかし,今後,助産ケアを提供する助産師をどのように育成していくか,助産ケアモデルの臨床への応用の在り方,多職種連携など取り組むべき喫緊の課題が浮き彫りになった.</p> 松下 有希子, 十河 美智子, 西原 加奈恵 ##submission.copyrightStatement## https://medbiol.sabsnpo.org/EJ3/index.php/MedBiol/article/view/540 木, 15 2月 2024 00:00:00 +0900